ココロごと
いつからだろう?咲のことが気になりだしたのは。


放課後、階段を下りながら普段使わない眉間にしわを寄せていた。

「あの...」
急に後ろから声をかけられたため、階段を一段踏み外しそうになる。


声の方向には、大貴が気にしていた“あの子”が立っている。
うつむいている彼女は、癖ともいえるぐらい、下唇を少し噛んでいる。


「どうしたの?夏樹ちゃん」
驚かないように優しく言った。



「あ、今度の日曜よろしくね」




それだけ言うと、その場から去っていく。何だったんだろう?
聞こえるはずもないけど、うん、と答えた。






校門の近くまでくると、カバンを下に置いてやっと来たという表情をした咲が待っていた。


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