ココロごと
「びっくりしたよ~、いきなり遊園地って」
帰り道、昔と変わらないペースで歩く俺達は、今日のメールの話で盛り上がっていた。もちろん俺は話を合わせなければならない。


「なんで断らなかったんだよ?」
一番聴きたかったこと、それがこの一言だった。


「だって、和人が私を誘うなんて小さい時以来だよ?それに、たまにはいいかなーって」
微笑んで空を見上げる咲。絵になりそうな髪の揺れ具合と笑顔に、一瞬心臓が脈を一回大きく打った。


あれ?なんだこの気持ち?
まさか俺、咲の事...。


その時、大貴の言った言葉を思い出した。



“素直になったほうが楽になると思うんだけどなぁ”



「どうしたの?」
下から覗き込むように俺の顔をみる彼女。


思いっきり走った時よりドキドキする心臓。
やばい、やっぱりこいつ可愛い。


打ちのめされそうな気持ちが全身を駆け巡る。





「いや、別になんでもないよ」
必死に表情を隠しながら言った。




あの一言が聴きたかったのは、きっと咲の気持ちを知るため。


やっとわかった。俺は咲が...、好きなんだ。
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