ココロごと
「ねぇ、和人」


後ろに振り向いて、真剣な瞳で問いかける。
俺は首を少し前に出す。


「やっぱりいいや」


見事な肩抜かしに唖然とした。


「太ってるの認めるんじゃないのか」



理由を問うつもりが、無駄な嫌味になってしまった。ホントになんだったんだろう?



咲はため息をついて、再び光る画面に目をむけた。



俺は出発の時間を見計らい、咲と一緒に外へ出た。

「電車に乗り遅れるぞ」





欲しいものを買ってもらえなかった子供のような顔をした咲を、駅までなんとか機嫌を直しつつ向かわせた。



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