ココロごと
「俺やっぱ咲が好きだ」



咲がトイレに行っている間、大貴に胸の内を話した。



「やっとスタートラインに立ったな」



待ちわびていたかのように笑いながら言う大貴。


「絶対譲らねぇからな」


それに応じ、こっちも笑う。そして後ろから影が忍び寄った。



「何の話?」


バットタイミングで帰ってきた咲が尋ねる。二人とも大分慌てたが、口をそろえて言ってやった。



「別に」



アナウンスが入り、やがて電車が線路を渡る音が聞こえてくる。

丁度前に開いたドアに足を通す。





同じ目的を持つ男二人は、先の見えない終点に向けて発進した。


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