ココロごと
「さて、行きますか」


俺のかけ声に始まり、駅から徒歩十分といわれる遊園地へ向かった。


歩幅を彼女達に合わせ、世間話をしながら歩く。すっかり大貴も馴染んだようだ。




「二人とも好きな人とかいるの?」


答え辛い質問を平気で訊く大貴。


「別に、いないよ」


そう答える咲に便乗して首を縦に振る夏樹ちゃん。


嘘でしょう。と言いたそうな大貴は言葉をのみ、こういった。




「じゃあ俺にもチャンスがあるかなぁ」


呟くように放った言葉は俺に向けられているような気がした。
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