ココロごと
「なんで部屋に入ってこれたんだよ」
八割不機嫌な俺は咲に聞いた。


「だって、玄関開いてたんだもん」


だって、じゃねぇよ。確かに玄関は親が早出で鍵は閉めていかなかったけど、高校一年生の女がいきなり同級生の男の部屋に入ってこないだろ普通。




「結局そんなのは早く起きない和人が悪いんだよ」
肩まである髪を揺らし、腕を組みながら咲は言う。



通学路を歩く俺達は、しばらく不満をぶつけあっていた。




受験戦争を突破し、地元の高校に通う俺達は、相変わらずだった。
周りから見れば付き合っているとしか見えないが、二人は違う、と声をそろえる。




でも、今日その平凡な日々が少しずつ崩れていくのを、俺は知る由もなかった。




快適な朝を邪魔された俺は、調子のつかない足取りで校門をくぐる。
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