ココロごと
「おおきくなったらけっこんしようね」


またどうしようかと迷っている間に、その言葉が頭に響く。夢だと思い込んだ台詞と場面が浮かぶ。


「え...?」

視線を彼女に向けると笑っていた。そのまま口を開いた。


「覚えてないよね、小さかった頃の話だもん」


俺は呆然と話を聞いた。その頃から好きだったこと、実は告白しようと咲に相談していたこと。




夢じゃなかった。今まで思い出してきた場面が、パズルのピースを合わせるようにぴったりと重なった。そうすると俺は、


「断ったんだよね、それ」


この一言で夏樹ちゃんの話を遮った。


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