ココロごと
固まったままの俺の背中を軽く叩いて大貴が口を開く。

「遊園地に誘っちゃいました」
しばらく状況も把握できずボーっとしていた。
次第に頭の回転が始まる。目の前に大貴の手が左右に振られていた。


「...はぁ!?」

人がいたら引いてしまいそうな声を出した。
訳がわからん。なぜそうなる?なぜ遊園地?

今度は頭の回転が早すぎて混乱状態に陥った。
いや、落ち着け。どうしてこうなったかメールを見るんだ。


送信箱と受信箱を交互に開けていった。

“今度の日曜遊びに行かない?”
この時点でおかしかった。なんで大貴が俺になりきっているんだ。


“日曜?急だね。まさか二人で?”
否定しなかったのを不思議に思った。


“いや、大貴と一緒に”

“木村君も?...じゃあ、こっちも一人増やすけどいいよね?”

“いいよ。誰?”

“ほら、あの子だよ”

“あぁ、あの子か。わかった、じゃあまた”

“じゃあ、日曜日にね”

さっきの文とつながった。
それにしても大貴の奴、俺をダシに使ってるじゃん。


ため息をしながら携帯を閉じる。その音に反応し、背中をビクッとさせて自称モテ男は振り向いた。





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