ココロごと
「なに勝手に約束してんだよ」
呆れ声で大貴に言う。


「だから今回は本気だって言ったじゃん」
勝ち誇った表情は崩れない。いまだ笑っている。


「大体、お前がいつまで経っても咲ちゃんに何も言わないから悪いんだよ」

言い放たれた言葉に少しドキッとする。


「別に、俺と咲はそんなんじゃないし」


「ほら、また逃げる」

逃げてねー。そう言いたいのに口が開かなかった。


数秒後、大貴が沈黙を破る。



「ま、いいけど。俺は素直になったほうが楽だと思うんだけどなぁ」


「余計なお世話だ」
次々と突かれる図星にムカついて、半分切れ気味に言った。


「とりあえず落ち着けって。これからを考えようぜ」
なぜか説得力のある言葉に納得する。


俺は頭の中を整理し始めた。


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