ココロごと
そして俺は、HR後に見た咲の表情の意味を理解した。



目があったのは、丁度大貴がメールを送った後だったからだ。

そりゃあ、いきなりあんなの来たらこっち見るよな。


「それで、どうします?和人のダンナ」
子分のようにペコペコしながら俺に言う大貴。さっきまでの空気はもうなくなっていた。


昔から一度した約束は守ってみせるのが俺の信条だった。
大貴は俺のそんな心を知りながら、次に出るであろう言葉を待っていた。


「仕方..ないよな」
その言葉を聞いた途端、子犬のように喜びだす男。


「それにしても、“あの子”って誰?」



「あとで教えてやるよ」
大貴は興味津々で訊いてきたが、
携帯を盗った罰として、前日まで教えないことにした。
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