初恋は桜と共に舞降ちる
「…無視?藤沢さーん」
ゆっくりと顔を上げ、声に答える。
「は、はい……」
先輩の顔の位置は一年前よりも高くなっていて、さらに私をドキドキさせた。
「はービックリした。一年も話さないうちに俺のこと忘れたのかと思った!」
私は精一杯首を横に降る。
そんなわけないよ。忘れるわけないじゃん…っ。
「安心した!ところで、さくらも帰宅部?」
「あ、えーっと……。はい。まぁ」
「そっか。俺もなんだ。誰か、一緒に帰る人いんの?」
「いえ。いませんよ…」
「じゃあ、俺、さくらと一緒に帰ってもいー?」
……えっ!?
嘘…私が先輩と……?
「………ダメ?」
「ううんっ!ぜ、ぜひ…」
私、今一番幸せかも。
夢の夢だと思っていた先輩の隣を歩けるなんて……。
ほんと、夢みたい……。