さよなら、片思い【完】
元々、由香里のことが好きだった俺。


唯の優しさを利用し、唯の優しさを何度も傷つけた。


そのことを知ってるからか藤堂さんからの風当たりは強い。



「唯をよろしくね。藤堂さん」


「あっ、はい。…唯、行こう」


「うん。じゃあね、哲くん。終わったら連絡するね」


藤堂さんに連れられてカフェテラスを後にする唯の背中を見送る。


本当に心配。


唯は人を惹きつける魅力がある。


そのことを本人が気付いてないのが更にやっかいだ。


冷めたコーヒーを喉に流し込み、唯とはじめて会ったときのことを思い出しながら家路へと着いた。
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