さよなら、片思い【完】
そして、上原くんの言葉に甘えてミルクティーをご馳走になった。


「唯ちゃん。バイトお疲れさま」


「ありがとうござい…。えっ、なんで名前知ってるんですか?」


「さっき仁奈と律から聞いた。働き者でしっかり者、とっても良い子だって俺に売り込んできた」


恥ずかしくなって顔が赤くなる。


「律はともかく仁奈は直感で生きてるような奴だから、仁奈が良い子って言うんだから当たってると思う」


「ちょっと哲!それ褒めてるの!?」


「仁奈、うるさい。ちょっとは唯ちゃんのおしとやかさを見習え」


「ん〜。それはムリだ」


上原くんと仁奈さんのやりとりが面白くて律さんと笑いあった。


見てるだけで満足だった彼と話して笑いあって、わたしを見てくれている。


なんだか不思議で、でも心地よくて、わたしはますます彼に惹かれた。



「それで充と大志が先生におもいっきり怒られてさぁ」


「相変わらずね、あんたたち。でも久々に他のメンバーにも会いたいな」


「あっ!ゆかりんも呼ぶ?今日モデルの仕事休みだって言ってたし」


仁奈さんが言ったゆかりんとはおそらくモデルの一條 由香里さんのことだろう。


上原くんが好きな。


「……。止めておけ。休みってことは充とデートしてるだろ」


上原くんがその一言を言ったあと微妙な空気に包まれた。


「あのっ!わたしそろそろ帰るんで…。上原くん、一緒に帰りませんか!?」


隣の上原くんは一瞬驚いた顔をしたけどすぐに微笑んでくれた。
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