さよなら、片思い【完】
「わたしたち、もう終わりにしましょう。そんな状態で抱かれても嬉しくないわ」
俺から離れて服をきていく女をまるで他人ごとのように見つめる。
「彼女さんのこと、大切にしてね」
そう言って女はホテルを後にした。
そして女が出て行ったドアを見つめながらさきほどの言葉を考えていた。
大切にする?
誰のことを?
由香里以外みんな同じ、由香里が一番で他の女はどうでもいい存在。
そうだったはずなのに。
ホテルから出た俺は家に帰る気分にもなれなくて、一人飲みに行こうと行きつけのバーへと足を向けた。
ところが生憎の臨時休業。
仕方なく帰るかと考えていたときに携帯が鳴った。
画面に表示されている名前に俺は目を見開いてすぐに電話に出た。
「もしもし。珍しいね、唯から電話かけてくるって。どうしたの?」
連絡先を交換しても唯から電話をしてくることはほとんどなかったのだ。
『もっ!もし、もし!上原くん…上原くんですか?』
「うん、俺。なにかあった?」
『……なっ、なにかなきゃ…かけちゃ、ダメなの?』
唯にしては珍しい言葉に俺は驚いた。
普段の彼女からしたら俺のことを考えてこんな言葉は言わないはずだから。
「そんなことないよ。唯からの電話、嬉しい。今何してるの?」
『……』
唯からの返事はない。
「唯?どうした?」
『ジュっ、ジュース飲んでる』
ジュース?
『友達からもらったの。オッ、オレンジ!オレンジジュース。ヒッ…甘いの』
ん?オレンジジュース?
俺から離れて服をきていく女をまるで他人ごとのように見つめる。
「彼女さんのこと、大切にしてね」
そう言って女はホテルを後にした。
そして女が出て行ったドアを見つめながらさきほどの言葉を考えていた。
大切にする?
誰のことを?
由香里以外みんな同じ、由香里が一番で他の女はどうでもいい存在。
そうだったはずなのに。
ホテルから出た俺は家に帰る気分にもなれなくて、一人飲みに行こうと行きつけのバーへと足を向けた。
ところが生憎の臨時休業。
仕方なく帰るかと考えていたときに携帯が鳴った。
画面に表示されている名前に俺は目を見開いてすぐに電話に出た。
「もしもし。珍しいね、唯から電話かけてくるって。どうしたの?」
連絡先を交換しても唯から電話をしてくることはほとんどなかったのだ。
『もっ!もし、もし!上原くん…上原くんですか?』
「うん、俺。なにかあった?」
『……なっ、なにかなきゃ…かけちゃ、ダメなの?』
唯にしては珍しい言葉に俺は驚いた。
普段の彼女からしたら俺のことを考えてこんな言葉は言わないはずだから。
「そんなことないよ。唯からの電話、嬉しい。今何してるの?」
『……』
唯からの返事はない。
「唯?どうした?」
『ジュっ、ジュース飲んでる』
ジュース?
『友達からもらったの。オッ、オレンジ!オレンジジュース。ヒッ…甘いの』
ん?オレンジジュース?