さよなら、片思い【完】
それからだ。


度々唯の家に訪れてごはんを食べて。


あのとき唯が酔って電話をかけてこなかったら俺たちの関係は今も平行線のままだっただろう。


過去を思い出しながらうつらうつらと寝こけてしまいそうなときに枕元に置いてある携帯が鳴った。


「もしもし、唯?合コン、終わったの?楽しかった?」


『うん、楽しかったけどちょっと疲れちゃった。やっぱり知らない人との食事は気を張っちゃう。他のみんなは二次会に行ったよ』


「お酒は?飲んだの?」


『ううん、今日は飲んでないよ。なっちゃんに止められちゃって』


唯の飲酒を阻止してくれた藤堂さんに心の底から感謝した。


「そっか。ところで唯。俺以上にイイ男はいた?」


そう訊ねると電話の向こうで『もぅ…』と照れた声が聞こえて自然と顔が緩む。


『ねぇ、哲くん』


「なに?」


『会いたいな、哲くんに…』


そう好きな彼女から可愛くお願いされて断れるヤツがいたら見てみたい。


「わかった。迎えにいくから、今どこ?」


『駅前の…信号渡って薬局の前』


「了解。男に話しかけられても全部相手にするなよ?」


『ふふふ、はいはい。大丈夫ですよ』


本当にわかってるのかな?


電話を切って唯の元へと向かう。


そうだ、途中でコンビニでもよってお酒を買って行こうか。


俺しか知らない酔ってる彼女もまた可愛いから。



【彼女とお酒と妬きもちと】完
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