さよなら、片思い【完】
兄と優しい魔法の券
「やっぱり佐々木先輩かっこいい!!」

かっこいい?


「工藤先輩もかっこいいよね!!」


どこが?


「ヤバイよね〜サッカー部のエースコンビ!!ねぇねぇ、ヒナ。ヒナはどっちがタイプ!?」


「どっちもカッコよくない!平均並み!!」


そう言うと友達は呆れたようにため息を吐いた。


「お兄以上にかっこいい人はいない!!」


「はぁ…また始まったよ。ヒナの哲さん贔屓。アンタに聞いたわたしらがいけなかったわ」


「ヒナの何が不幸ってあんなにかっこいいお兄さんを持ったことだよね。哲さん基準になったらほとんどの男が平均並みになるよ」


放課後の教室で友達が可哀想な視線を向けてくる。


「いい加減兄離れしなよ。哲さんに似てモテるのにそんなんじゃ彼氏できないよ?」


「彼氏なんていりません!お兄がいればそれでいいの!!」


そう、優しくてかっこいいお兄が昔から大好き。


他に男なんていらない!!!


って思ってるのに、帰り道に校門前で待ち伏せされて告白され中。


しかもさっきみんなが話してた佐々木先輩だし。


「ヒナちゃんって超可愛いよね。俺超タイプなんだけど」


はぁ、そりゃどうも。と流したいところだけど一応先輩だから愛想笑いをする。


「その笑顔もヒナちゃんの黒くて真っ直ぐな長い髪とか大きな瞳も全部好き。スタイルも抜群だし、俺たちお似合いじゃね?」


「ごめんなさい、先輩。誰とも付き合う気はないんですよ」


わたしと付き合いたかったらお兄以上にカッコよくなってよね!


わたしに振られると思わなかったらしく呆然としている佐々木先輩の横を通りすぎる。


アホらしい。早く家に帰ろう。
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