さよなら、片思い【完】
そして、由香里と予定を合わせて映画館、水族館、動物園にカラオケにといろんなとこに出かけた。


デートがこんなに楽しいものだなんて。


正直、今までの彼女は最初のうちこそ出かけてたけど最終的には身体を重ねるだけのそんなデートとも言えない過ごし方をしていた俺なのに。


夏休みも終わり季節は秋に入りはじめたある日、俺は決意した。


由香里に告白しようと。


いつものようにデートの帰り道、俺は由香里並びながらゆっくり歩く。


あの日、初めて遊園地に行った帰りと同じように夕日が眩しい日だった。


「で、そのときに大志が仁奈に怒られてて、哲がめっちゃ呆れた顔してたの」


クスクスと笑いながら話かけてくる由香里。


この笑顔を俺だけのものにしたい。


「…由香里!」


「なに?」


「……っ!」


告白ってこんなに勇気がいるものなのか!?以前だったら軽く言えてたのに、今は緊張しすぎて手に汗が滲む。


「どうしたの、充」


「由香里さ、気付いてるかもしんねぇけど俺。由香里のこと好きなんだわ。初めて会ったときから。俺と付き合って!」


由香里は一瞬驚いた顔をしたけどすぐに悲しそうな顔をした。


なんでそんな顔するんだよ、由香里。
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