さよなら、片思い【完】
「さっきの男って絶対唯ちゃんに好意あるよな!」


唐揚げ定食を頬張りながら大志がそう言ってきて箸が止まった。


「俺もそう思う!めっちゃ哲のこと睨んでたし。チャレンジャーだよね」


「は?そんなのある訳ないだろ」


充が大志に同意してたけど、あくまでも冷静にそれを否定する。


「わかってねぇな、哲。唯ちゃん、お前と付き合うようになってから可愛くなったって少し人気出てきたんだよ?」


充の幅広い人脈網の情報なら確かだろうけど信じられない自分がいる。


確かに唯は可愛いとは思うけどそれは小動物的な意味であって、一般的にみたらどこにでもいるような普通の女の子。


でも同じ学科で唯の近くにいたら唯の良さに気付くかもしれない。


「…くだらない」


そう悪態を吐いてごはんを食べると二人より先に店を後にした。


イライラする…なんだこの感情。


嫉妬?…違う。


由香里が充と付き合っててもこんな感情はなかった。


俺が好きなのは由香里であって唯ではない。


だから、これは嫉妬なんかじゃない。
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