さよなら、片思い【完】
「上原くん!苦しい!苦しいです!」


力強く抱きしめていたせいか息苦しくなった唯が俺の腕の中で小さく叩いてきた。


「あっ…。悪い」


素っ気なくそういって唯を腕の中から解放すると唯は辺りをキョロキョロしはじめた。


たぶん、さっきの男がどこにいったかと思ってるんだろうな。


唯に触れられるのは俺だけ。


そうなんとも言えない優越感と幸福感に支配されながら唯の柔らかい髪に触れる。


離したくない、誰にも、渡したくない。



「よっ!ご両人!ラブラブだねぇ」


「由香里、煽るな。哲はからかうと面倒になる」


どこから見ていたのか、由香里と充がニヤニヤしながら俺たちをみてきた。


充は「面倒になる」と言いながら絶対に面白がってる。


自分の友人にそんなとこを見られてかなり恥ずかしい。
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