さよなら、片思い【完】
「てっ、哲くん?DVD、観ないの?」


「唯、俺になにか渡すモノ、ないの?」


質問に何故か質問で返され、しかも哲くんはリモコンでDVDを停止させ無音になった部屋にわたしの声が響く。


「渡すモノ?」


哲くんに渡すモノ…なんだろ?考えてみたけど、哲くんから何か借りてるモノもないし、記念日とかでもないし。


うーん、と考えていると哲くんは優しくわたしを抱き寄せた。


突然の哲くんの体温とシトラスの香りにクラクラ寸前。


「本当にわからない?」


「ごめんなさい。わからない、です」


「…充や大志には渡したのに俺にはくれないの?」


充や大志…それってもしかして…


「ハロウィンのお菓子?」


「今日学校に行ったら大志が『唯ちゃんからお菓子貰った』ってめっちゃ興奮してるし」


拗ねたような顔をして顔を横に背ける哲くん。


なんか、可愛い。
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