さよなら、片思い【完】
「腕、よこして。手で繋ぐよりはぐれないから」


「あっ、はい…」


自ら腕を組もうとしたことは唯が初めてで。


俺も内心、恥ずかしくてちょっとぶっきらぼうな口調になった。


今までの女たちはウザいくらいに自分たちから腕に絡みついてきたから。


唯は恥ずかしそうに恐る恐る腕を回し躊躇うよに俺を下から見つめた。


これが素なんだから怖い。


こんな可愛い表情、誰にも見せたくない。


でも俺にだけ見せていてくれることが嬉しくて他のヤツらにも自慢したいのも事実。


矛盾してるよな、と思いながら会場に向かった。
< 224 / 257 >

この作品をシェア

pagetop