さよなら、片思い【完】
教会の外に出て由香里さんからのブーケトスの時間。


「唯も行ってくれば?」


「あっ、ううん。わたしはいいよ」


由香里さんの幸せを次は我こそが!そんな熱気の入っている女性陣の中に突入する勇気なんてわたしにはなくて。


そして、由香里さんが投げたブーケは綺麗に青空に舞いブーケを待ち構えてる彼女たちの元へと落ちる。


「哲〜、次はあたしだって!お先に幸せになるから」


ブーケをゲットした仁奈さんはそれを天高く掲げながらわたしたちのところへやってきた。


「良かったな、仁奈。ブーケ取れたんだ。あとは相手だけだな」


「ムッキー!本当、ムカつく!ここでいい出会いがあるかもしれないじゃん!」


哲くんが仁奈さんをからかっていると大志くんが手を振りながら呼びかけてきた。


「おーい!哲、仁奈!高校連中で集合写真撮るって!」


「写真!?行くいく!!」


走りながら輪の中に入っていく仁奈さん。


「悪い、唯。ちょっと行ってくる」


「うん。いってらっしゃい」


小さく手を振って哲くんの背を見つめる。


やっぱり何年経っても哲くんの人気は凄くて、哲くんが未だに結婚してないと知っている女性たちはみんなギラギラとした目で哲くんを狙っている。
< 241 / 257 >

この作品をシェア

pagetop