さよなら、片思い【完】
行き先も聞かされてないわたしは車の中で流れる曲を聴きながら流れる景色を淡々と眺める。
朝が早かったからか、気持ちが緩んだからか、この車の揺れと西陽が入り込むこの車内の温度が心地よくて寝そうになる。
あくびをなんとか噛み締めるとそれに気付いた哲くんが赤信号で止まっている最中に助手席をリクライニングで倒した。
「着くまで時間かかるから、寝てていいよ。疲れただろ?」
「ごめんね…ちょっと、休むね」
そう言って目を閉じるとすぐにわたしは夢の中に落ちた。
どれくらい寝ていたかわからないけれど次に目覚めたわたしは窓の外が暗くなっていることに遠いところまで来たのだと知る。
「あっ、唯、起きた?もうちょっとで着くよ」
「うん。哲くんっ!ここって!」
寝る前はわたしの知らない景色だった。だけど今わたしが見ている景色はわたしの知っている景色に変わっている。
何年経っても変わることのない不変の地。
山々に囲まれて土地ばかりは無駄に広くて、だけど暖かくて懐かしい地。
「わたしの、地元?」
「そ。唯の地元。お父さんとお母さんに同棲の許可を頂いたとき以来だから迷うかと思ったけど、スムーズに着いて良かったよ」
そう恥ずかしそうに笑う哲くん。
わたしはお正月の年に一回は帰省しているけれど、ふたりで来るのはこれが2回目で。
朝が早かったからか、気持ちが緩んだからか、この車の揺れと西陽が入り込むこの車内の温度が心地よくて寝そうになる。
あくびをなんとか噛み締めるとそれに気付いた哲くんが赤信号で止まっている最中に助手席をリクライニングで倒した。
「着くまで時間かかるから、寝てていいよ。疲れただろ?」
「ごめんね…ちょっと、休むね」
そう言って目を閉じるとすぐにわたしは夢の中に落ちた。
どれくらい寝ていたかわからないけれど次に目覚めたわたしは窓の外が暗くなっていることに遠いところまで来たのだと知る。
「あっ、唯、起きた?もうちょっとで着くよ」
「うん。哲くんっ!ここって!」
寝る前はわたしの知らない景色だった。だけど今わたしが見ている景色はわたしの知っている景色に変わっている。
何年経っても変わることのない不変の地。
山々に囲まれて土地ばかりは無駄に広くて、だけど暖かくて懐かしい地。
「わたしの、地元?」
「そ。唯の地元。お父さんとお母さんに同棲の許可を頂いたとき以来だから迷うかと思ったけど、スムーズに着いて良かったよ」
そう恥ずかしそうに笑う哲くん。
わたしはお正月の年に一回は帰省しているけれど、ふたりで来るのはこれが2回目で。