さよなら、片思い【完】
別荘はログハウスの造りになっていて、木の匂いで満たされていた。


それになんと裏庭に専用の大きなプール。


事前にその情報を聞いていたわたしは水着を持ってきたのだ。


他の運動はからきしダメだけど泳ぐことは大好きで実はちょっと楽しみにしていた。


「じゃあ俺と由香里が同じ部屋、哲と唯ちゃんが同じ部屋でこの部屋使って、あとこっちは仁奈の部屋でそこが大志の部屋な」


別荘の所有者である杉田くんがテキパキと部屋の割り振りをする。


部屋に入るとわたしはその大きな窓から見える景色に興奮した。


「うわぁ、綺麗!上原くん見てみて!景色すごい綺麗だよ!」


「唯、はしゃぎすぎ。まぁでも喜んでくれて良かったよ」


上原くんが後ろからわたしをそっと抱きしめると耳元で囁いた。


「哲ー!ちょっとこっち来て!」


杉田くんに呼ばれてゆっくりとわたしから離れると部屋から出ていった。


と、同時に由香里さんと仁奈さんがニヤニヤ笑いながらわたしたちの部屋に入ってきた。


まさか、さっきの見られたんじゃ!?


だとしたら恥ずかしすぎる!!


「ど、どうしたんですか?」


「唯ちゃん、水着持ってきた?」


由香里さんは何を企んでるのか両手を後ろにして何やらモゾモゾと隠している。


「どんな水着!?」


仁奈さんは相変わらずニヤニヤしたままわたしの水着を聞いてきた。


「どんなって、普通のヤツですよ?」


ふたりが何をしたいのかわからないままわたしは鞄の中から水着を出した。




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