さよなら、片思い【完】
そして、バーベキューの買い出しが終わったあといよいよプールの時間。


男性陣は先にプールに行っている。


わたしは部屋で一人、先ほど貰ったビキニに着替えた。


「唯ちゃん!準備できた?入っていい?」


扉の向こうで由香里さんの声がしたのでどうぞ、と言うと由香里さんと仁奈さんが入ってきた。


「うわぁ〜!唯ちゃん、可愛い!ねっ、ゆかりん!」


「うんうん、すっごい似合う!サイズは大丈夫?」


「サイズは平気ですけど…。ヘンじゃないですか?」


こんな派手なビキニを着ること自体初めてでドキドキしてしまう。


「そんことないよ〜。これで哲も悩殺間違いないね!」


「早く行こう!みんな待ってるよ!」


仁奈さんに手を引かれわたしは上原くんたちの待つプールへ向かったのだが。


「お待たせ〜!」


「おっそいぞ、由香里。何してたんだよ」


杉田くんが心配そうに由香里さんに駆け寄るのがプールサイドから見えた。


「唯ちゃん、早く行こう!じゃあん!見てみて!この水着、あたしたちが選んだんだよ〜」


エッヘンと威張るような素振りを見せる仁奈さんとは対照的に固まる男性陣。


やっぱり似合わなかったのかな?


「すっごい!唯ちゃん、超セクシー!色っぽい!」


「マジ、超似合ってる!可愛い!」


杉田くんと大志くんはわたしの水着姿を褒めてくれたけど、肝心の上原くんは黙ったまま。


「ど、どうかな?上原くん」


「ん?うん、いいんじゃない?」


さも興味がないように素っ気なく答える上原くん。


そうだよね、これが由香里さんなら上原くんもメロメロになるだろうけどわたしが相手だしな。


泣きそうになるけどグッと堪える。


せっかくプレゼントしてもらった水着だもの。


おもいっきり楽しまなくちゃ。



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