さよなら、片思い【完】
不思議に思いながらもその包み紙を受け取る。


「開けてみて」


そう促されて包み紙をゆっくりと開けると中には…。


「っ!上原くん、これって…」


「唯が欲しがってたもの。あれ、もしかして違った?」


違ってなんかいない。


わたしが美術館で見つけたあのブレスレット。


首をおもいっきり横に振って上原くんに抱きついた。


なぜこの人はわたしが喜ぶことをこんなにしてくれるんだろう。


「どうしてこのブレスレット欲しがってるってわかったの?」


「唯のことならなんでもわかるよ。唯の彼氏だからね、俺」


わたしの、彼氏。


わたしは上原くんが望んでいる偽りの彼女をちゃんとやれているのだろうか。


「唯?」


「…ありがとう。大切にするね」


わたしがお礼を言うと上原くんはわたしの頭に優しく唇を落とした。


「喜んでくれて俺も嬉しい。じゃあそろそろ帰るよ。おやすみ、唯」


「おやすみなさい、上原くん」


「…あと唯、昨日の水着、すっごい可愛かったよ。じゃあ」


暗がりではっきり見えなかったけど少し照れた素振りを見せて上原くんは足早に帰っていった。


楽しい思い出も、切ない思い出も、


全部全部、貴方と作っていきたい。


貴方と過ごせる限りある時間はあとどれくらいであろうとも。
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