さよなら、片思い【完】
少し離れたところで高井くんがカメラに向かってポーズを決めている。


その姿に女のモデルさんたちは目をハートにしていた。


確かにかっこいいけど上原くんの方がかっこいいと思ってしまうわたしは重症だろうか。


「なんであんなやつが人気あるんだろ!?唯ちゃんもそう思わない!?」


「…由香里さんは高井くんが嫌いなんですか?」


さっきからずっと思ってた疑問を由香里さんにぶつけてみた。


「…仕事仲間としては尊敬してる部分もある。
だけど、あいつわたしと初めて会ったとき何て言ったと思う!?」


由香里さんが興奮し出して周りにいるモデルさんやスタッフの方がわたしたちをチラチラみてきている。


「あのっ…由香里さん!落ち着いて!」


「『噂で聞くより美人じゃねぇじゃん』って言ったんだよ。なに、一條、まだあの時の言葉根に持ってんの?」


撮影が終わったのか高井くんがわたしの隣の椅子に座ってきた。


「えぇ、持ってるわよ!悪い!?ってかなにあんた当然のように唯ちゃんの隣に座ってんのよ!?」


「唯、教えてやれよ。俺の憎まれ口はスキンシップの証だって」


いつの間にか名前を呼び捨にされて驚いた。


この人は昔、わたしのことチビとしか呼んでなかったから。
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