さよなら、片思い【完】
金井さんが作った喫茶店人気のアイスカフェラテを彼女の前にそっと差し出したが彼女はそれを一気に飲み込む。


「お前、ビールじゃないんだからもっと味わって飲めよ」


「だって今日あっついんだもん!金井っち!もう一杯!」


「まったく、日下さんとお前が同い年だなんて思えないな。お前はもうちょっと落ち着け」


同い年なんだ。でも律さんの友達なら同い年かとは思ってたけど、大人っぽいし可愛いし。


「同い年なんだ!?学生さん?」


「はい。すぐそこの、Y大です」


この辺で大学っていえばわたしの行っている大学しかないからこの説明で大抵の人はわかる。


「えっ、Y大!?あたしもあたしも!」


そう言うとテンション高くわたしの手を取りブンブンと上下に振る。


同じ大学なんだ。だからどこかで見たことがあるような気がしたのかな?


「あれ?仁奈、来てたんだ」


ふっくらとしたお腹をさすりながら律さんが病院から戻ってきた。


「律!おかえり!ベィビィの調子はどう!?」


「おかげさまで順調よ。それより仁奈、来るなら連絡してくれれば良かったのに」


「さっきしたよー!お店に行くって」


ほら!と言いながら彼女はスマホのメール画面を見せた。
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