さよなら、片思い【完】
わたしのそんな願いが神様に届いたのか、


「唯!」


「唯ちゃん!」


お店に戻ると店内にいたのは心配そうな顔をした上原くんと律さん。


「上原くん…。どうして、ここに?」


「由香里から連絡がきた。唯の携帯にも電話したけど出なかったから心配したんだぞ?」


由香里さんが上原くんに電話をしてくれて、先ほどの経緯を話してくれたらしい。


「ごめん…なさい」


「唯が謝ることない。俺のために怒ってくれたんだってな。ありがとう」


お礼を言われるようなこと、何ひとつしてないのに。


「悪い、律。唯、疲れてるみたいだから今日はこのまま帰るよ」


「うん、わかった。由香里にはわたしから連絡しておく」


「俺からもあとで由香里に電話する。唯、行こう」


心配をかけさせてしまった律さんにペコッと頭を下げ、わたしは上原くんに連れられてマンションに帰った。


「あぁ、今夜は唯の家に泊まるから心配ない。……そっか、よかった。……あぁ、いろいろと悪いな」


わたしは上原くんの入れてくれたホットミルクを見つめながら、電話の会話を聞いていた。


「電話…由香里さん?」


「あぁ、もう撮影も終わって今家に着いたって。唯のこと心配してた」


「本当?怒ってなかった?」


あのままちゃんと謝りもせずにスタジオを飛び出してしまって、


由香里さんの立場が悪くなったらどうしよう。
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