さよなら、片思い【完】
お店を出て月が優しく照らす夜道をゆっくりと歩く。
駅前通りだからかわたしたちと同じようなカップルがみんな幸せそうに歩いている。
こんなにたくさんの人がいるのに、たった一人と出会って恋をして、
わたしもたった一人の愛しい人を見つけた。
一年前よりも上原くんの側にいて、一年前よりももっと上原くんのことが大好きになっていく。
上原くんのこの綺麗な横顔が大好き、
上原くんの心地よい声が大好き、
上原くんの暖かく大きな掌が大好き、
でも、
その掌は無情にもゆっくりと離れていった。
「由香里ーーー」
駅前の噴水にあるベンチにいるのは紛れもない、
上原くんの好きな人。
由香里さんはたった一人で涙を流していた。
「あっ…哲。唯ちゃんも。デッ、デート?ごめんねっ、変なとこ見せちゃって!」
由香里さんはゴシゴシと目を擦りわたしたちに笑ってみせた。
「なにか、あったのか?」
上原くんが心配そうに尋ねると由香里さんはニカっと笑顔を作った。
「…充とね、別れたんだ!」
えっ、杉田くんと由香里さんが別れた?
「撮影が急に延期になったから充の家に行ったら知らない女の子がいてさ!もう参っちゃうよ!だから引っ叩いて別れてきた!」
あのときの子だろうと、確信はないけどそう思った。
由香里さんは明るく言ってるけどムリをしているのは一目瞭然で…。
「あぁ!もう嫌になっちゃう!あんな浮気男、すぐに忘れてやる!!」
由香里さんは立ち上がりうーんと背伸びをした。
「一條 由香里!失恋なんかに負けずがんばります!!…だからそんな心配そうな顔しないでよ、哲」
「由香里…」
「唯ちゃんも!せっかくのデート、変な空気にさせちゃってごめんね」
由香里さんはそう言うとわたしたちに背を向けて歩き出した。
駅前通りだからかわたしたちと同じようなカップルがみんな幸せそうに歩いている。
こんなにたくさんの人がいるのに、たった一人と出会って恋をして、
わたしもたった一人の愛しい人を見つけた。
一年前よりも上原くんの側にいて、一年前よりももっと上原くんのことが大好きになっていく。
上原くんのこの綺麗な横顔が大好き、
上原くんの心地よい声が大好き、
上原くんの暖かく大きな掌が大好き、
でも、
その掌は無情にもゆっくりと離れていった。
「由香里ーーー」
駅前の噴水にあるベンチにいるのは紛れもない、
上原くんの好きな人。
由香里さんはたった一人で涙を流していた。
「あっ…哲。唯ちゃんも。デッ、デート?ごめんねっ、変なとこ見せちゃって!」
由香里さんはゴシゴシと目を擦りわたしたちに笑ってみせた。
「なにか、あったのか?」
上原くんが心配そうに尋ねると由香里さんはニカっと笑顔を作った。
「…充とね、別れたんだ!」
えっ、杉田くんと由香里さんが別れた?
「撮影が急に延期になったから充の家に行ったら知らない女の子がいてさ!もう参っちゃうよ!だから引っ叩いて別れてきた!」
あのときの子だろうと、確信はないけどそう思った。
由香里さんは明るく言ってるけどムリをしているのは一目瞭然で…。
「あぁ!もう嫌になっちゃう!あんな浮気男、すぐに忘れてやる!!」
由香里さんは立ち上がりうーんと背伸びをした。
「一條 由香里!失恋なんかに負けずがんばります!!…だからそんな心配そうな顔しないでよ、哲」
「由香里…」
「唯ちゃんも!せっかくのデート、変な空気にさせちゃってごめんね」
由香里さんはそう言うとわたしたちに背を向けて歩き出した。