さよなら、片思い【完】
彼とさよなら片思い
家に帰りソファに一人横になる。


あのあと切ない瞳をして由香里さんの背を見つめる上原くんにわたしは言った。


ーー由香里さんのところに行って、と。


上原くんは驚いた顔を見せたけど「悪い」と一言だけ残し由香里さんのあとを追った。


どんな結末を迎えようとも、由香里さんが杉田くんと別れた今、上原くんの邪魔をする権利はわたしにはない。


さっき貰ったネックレスをそっと指でなぞる。


上原くんが優しいから、上原くんが愛しそうに見つめてくるから


勘違いをしていた。


上原くんは最初から由香里さんしか見ていない。


それでもいいと思った一年前。


でも人間どんどん欲が出てきて、


このままでいたい、


愛されたいと願ってしまった。


ピンポーン…


家のチャイムが鳴りゆっくりと起き上がり玄関へと向かう。


扉を開けると上原くんの姿が。


わたしのところに戻ってきてくれた!


そう思えたらどんなにラクだろうか。


だって目の前にいる愛しい彼はすごく辛そうな表情をしていたから。


< 94 / 257 >

この作品をシェア

pagetop