さよなら、片思い【完】
律さんとふたりで話していると律さんのスマホが鳴った。


「もしもし、なに?……うん、うん、……はぁ!?今から来るって…確かにそうは言ったけど…ちょっと何考えて…って切れた」


ハァと大きくため息をついて頭抱えた律さん。


誰か来るのかわからないけどそれならわたしは帰った方がいいよね。


「律さん、わたしそろそろ帰りますね」


「ごめん、唯ちゃん。ちょっとまだ居て」


えっ?


律さんに引き止められわたしは首を傾げる。


「実はね、わたしの友達で唯ちゃんのこと気に入ってるヤツがいて。そいつが今から来るっていうの」


「でも…!」


「会うだけでいいから!性格の良さは保証する。顔も文句無し、優柔不断なのがたまにきずだけど。でもすっごい良いヤツだから!」


力説している律さんには悪いけど、今はまだ他に好きな人なんて見つけられない。


それに律さんの友人なら上原くんとも知り合なのかもしれない。


今の状況でそんな関係の人と出会うのはとても耐えられない。


どうにか断ろうと考えているとチリンチリンと、小さく鈴が鳴り扉の開く音が聞こえた。


「早かったわね。そんなに唯ちゃんと会いたかったの?」


律さんは入ってきた人をからかうようにして笑った。
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