秘密。
これも予想通り〜。



「……勝手にいなくなんなよ」



「あーごめんごめん」



置き手紙でもしてくればよかったなー。


軽くかわすあたしに周は更に眉間のシワを深くしてしまった。


カルシウムが足りないよね、周って。牛乳の宅配でも頼もうかな?




周は溜息をついて



「…いつものことか、お前の奔放ぶりは」


「誉めてる?」


「誉めてねぇ。携帯の電源くらい入れとけ」


あ、そういえばずっと電源切ってたんだっけ……。
そこは反省っと。



「で、昨日はここで野宿か?」



空き地を見回してそう言ってくる周。



たまーにあたしは一人でキャンプみたいなことするから、そう思ったみたい。


「んーん、ホテル。ベッド広くて最高だったよー」


あたしは満足気な表情を浮かべて笑う。


けどそれを聞いた周は一瞬にして



「……ホテル?」



機嫌を悪くされたみたいだ。



異様に声低いし。そんでもって顔怖いし。



まぁまぁ。落ち着け。



「…お前、ヤったんじゃねぇだろうな」



「ん?ヤって“は”ないよ?」



「……“は”?」



おお……より一層低くなっちゃった。


失言だったな、こりゃ。



今更ながら後悔したけど遅くて…。



だからってこのまま引き下がんのもやだし。



「いいじゃん、キスくらい。減るもんじゃないし」



あたしはそう言い身を翻してバイクの方に向かった。



こんなの日常茶飯事だから特に気にすることない。



でも周って怒るとつくづく面倒なんだよねー。



荷物をバイクの近くに降ろすとあたしはまた周の元に戻って




「そんな不機嫌な顔しないでよー」



クスクス笑い腕を周の首に回した。




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