秘密。
「キスなんかしてんじゃねぇよ…」
「んじゃ消毒でもする?」
そう言い終わると同時にあたしの唇はその言葉ごと奪われた。
初めは触れるだけだったけどだんだん遠慮しなくなって
「…んっ……」
侵入してくる熱い舌に息苦しさを感じながらもあたしがそれを拒むことはない。
あたしと周は付き合ってるワケじゃない。
でもあたしは“周の女”。
お互いに恋愛感情なんてないし。
ただ一番にお互いのことを分かりあえる、そんな感じ。
好きか嫌いかって言ったらそりゃもちろん好きだし。
「…あま…ねっ」
こんなキスをするのも、周だけ。
なんか、周って案外独占欲強いからねぇ。
やっと唇が解放された時には息も絶え絶え……。
「……長いよ、周」
周の胸の中で非難の声を上げた。
「お前は俺の女だ」
当たり前のように、毎回このセリフ。
分かってるよ、そんなこと。
「そーですね、“総長様”」
あたしはクスッと笑ってそう言った。
総長……、なんて言葉。
それを聞けば周が何者なのか、把握できるはず。