秘密。
あれから2年かぁ……。
長いようで短いような…。
「お客さん?着いたよ?」
しみじみと思い出に浸っていると早速一件目に到着したようだ。
そこは高級マンションの立ち並ぶ場所。
目星を付けてるマンションは大体ここら一帯に集結してる。
ずっと見てると首が痛くなりそう。
あたしは運転手さんにここで待っているように伝えて外に出た。
「さーてと、まずはここから」
しらみ潰しでもやっていこっかな?
――…
―――…
――――…
「あ〜分かんない〜」
しらみ潰し……にしていったけどどこにも神楽冬真なんて住人いなかったし…。
まだ数件残ってはいるけど……あーあっ、絶対この区域にいると思ったのにー!
簡単に見つかっても面白くはないんだけど……見つかんないのも面白くなーい。
タクシーの後部座席で伸びるあたしに運転手さんはたじたじ。
一応車を発進させて次の場所に向かってはいるんだけど。
あたしは窓の外を見ながらそっと溜息をついた。
「このまま見つからなかったら、あたし何の為にこっちに来たんだろー…」
無駄骨じゃん!
そんなことにならないようにと昇ってくる太陽に念じるあたしであった。
暫くしてストップしたタクシーからお金を払い、降りた。
見つからなかったら見つからなかったらで観光でもしよう……。