秘密。
何で見ず知らずの……しかもなんかイラっとする男になんで名乗んなきゃなんないんだろう。



あたしは溜息をついて



「……神楽悠」




小さくそう言った。



言ったあとで一応この男の名前でも聞いといてやろうと思って男の方を見ると


「……」



なんだか不思議そうな顔してあたしを見てる。



「…名乗ったけど、なんか不満?」


男はジロジロとあたしを見て




「……神楽?」



そう口にした。



神楽?…うん、神楽ですけど何か?


なんで聞き返してきたのか……あたしも不思議顔。


すると男はあたしの側まで寄って来るとまたジーッと見てきて




「……あんた、兄弟いる?」



そんなことを言ってきた。



「……いるけど?」



「…名前は?」


名前名前って……コイツ名前フェチ?



しかも顔付きさっきと違う。


気の抜けたような、…さっき睨んでたんじゃなかったの?って感じの。





「……冬真、だけど?」

「やっぱりか!!お前、冬真の姉貴だろ!!」



はっ?


何、コイツ冬真のこと知ってんの?



男は宝箱でも見つけたような表情になって……。



「アンタ、冬真のこと知ってんの!?」



「おうよっ!あ、俺品川楓(シナガワカエデ)。冬真からあんたのこと聞いてるよ!」

「へ?冬真から?」



あたしのこと聞いてるって……。


男…もとい楓はニッコニコ笑ってあたしの手をブンブンと降ってきた。



さっきの態度と全くもって正反対。



「冬真があたしのこと言ってたの?」



「おう。顔も写真で見せて貰って名前も聞いてた。とっさには思い出せなかったけどな」



「そっか…。でもなんで冬真はあたしのこと話してるの?」




名前はともかく写真見せてるって…。


< 20 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop