秘密。
あたしは楓を押し退けて
「冬真、ご飯できたよ」
座席に寝そべる冬真にそう言った。
するとダークブラウンの髪がピクリと揺れ
「――…え……」
寝呆けてもいない困惑した声が届いた。
恐る恐るとゆうように瞳がこちらに向けられて、見開かれる。
「……ねー…ちゃん?」
か細い声と揺れる視線が向けられた。
「やだなー、お姉ちゃんって言ってよ」
前はそう呼んでくれてたじゃん。
そう付け加えると冬真は躊躇いなくあたしへ飛び付いてきた。
「ねーちゃんっっ」
あたしが知っている冬真よりずっどガッシリとした腕、少し低くなった声。
だけど縋るような瞳と強くあたしを抱き締める力は変わらない。
「冬真はいつまでたっても寝起きが悪いんだから」
クスクスと笑うと冬真の腕に力が籠もって
「ねーちゃんが……起こしてくんないから」
そう言った。