秘密。




「やっぱねーちゃんの手料理が一番好き」



「え?」




唐突にそう言ってきた冬真に少しびっくり。



手を動かすのを止めた冬真はあたしの方を見て





「ねーちゃんが作った料理って、すっげぇ優しい味がするんだ」




そう、昔と変わらない無邪気な笑顔を浮かべた。




優しい…味?



自分で作った料理なんて普通に料理の味しかしない。



けど冬真がそうゆう風に味わってくれてるんだったら 、すごく嬉しい。






「ありがとう」




あたしも笑みを浮かべてそう言った。




それから本当にあたしの分は残りそうにないなって思った頃、またバカでかい着信音が鳴った。




冬真は直ぐ様電話に出て




「何だよっ」




すっごい不機嫌な声で言った。



電話の相手って楓かな?それとも南?




「あ?勝手に人の携帯弄んな。……分かった。…は?いるけど……。


……………はぁ?」




電話の向こうで何言ってんのか分かんないけど冬真が変な声出した。




それからあたしの方をちょっと見ながら話をしている。




「なんで……、いや意味分かんねぇ。…何だよソレ。俺はあんなとこに連れて行きたくねぇ……っておいっ!」




一方的に切られたのか「切ってんじゃねぇよ」と携帯に向かって怒鳴っている。



「…どうかしたの?」



今のうちだと思ってスコーンを噛っていたあたしは特に何も気にせず聞いていた。



すると冬真は小さな溜め息をついて




「ねーちゃん」



「んー?」



「学校、行こ」



「…ん?」



行こ?


行く。じゃなくて?




不思議な顔をするあたしに冬真は




「ねーちゃんも学校に連れて来いって」




と言っ……―――はい?


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