秘密。
――…
―――…
――――…
「おはよーさーん♪」
「何であんたがいんの?」
「開口一番にソレって酷くね…?」
なんだかよく分からない流れに乗せられ降りてきた玄関前には楓。
車の窓から身を乗り出して手を振っている。
「あんた、一気に老けたね」
「イメチェンじゃ、この野郎」
さっきまで紫だったハズの楓の髪は白髪へと姿を変えていた。
髪痛むよ?
「ねーちゃん、ソイツは空気だと思っていいから。乗って?」
「うん。分かった」
「了解してんじゃねぇよ、オラッ」
車に乗り込んだと同時に発進。
やっぱり運転は南で、さっきあたしの顔見てすごく嫌そうな顔をした。
今もなんか不機嫌オーラヒシヒシと伝わってきてる。
それよりも気になってるのは
「ねぇ、なんであたし学校連れてかれてんの?」
冬真が電話を切った後ドタバタと出てきてしまったから理由なんて聞く暇なかった。
楓は後ろに体を向けて
「理由は聞いてねぇけど……、総長命令ってやつ?」
「総長?」
「そ。うちの総長に冬真の姉貴が見つかったって言ったら、連れてこいって」
「えー…何ソレ…。あたし総長さんに何かした?」
「さぁ?してねぇんじゃねぇの?」
「じゃあ何で呼び出されるワケ」
「さぁ?気まぐれじゃね?」
「はぁ?」
「うちの総長サン、気分屋だから。なんとなく一人暴走に出てみたり、なんとなく喧嘩して勝ってみたり、なんとなく居眠りしてテスト最下位になってみたり」
「え、一人暴走って淋しくない?てか一番最後のって当たり前じゃん」
「まぁな。最下位になって南から怒られてなんとなく勉強して学年一位になるような奴だ」
…理解不能だよ、あんたらの総長さん。