秘密。
すると前の方から怒鳴り声が聞こえ、その後にバタンッと音を立て教室の扉が倒れてきた。
「何?」
冬真は突然のことに少し驚いたあたしを自分の後ろに隠して、南は倒れた扉の方に歩いていく。
教室の扉があんなに綺麗に倒れるの初めてみたなぁ。
冬真の後ろから少しだけ顔を出して見学するあたし。
南がその教室に近づいた時。
「だから違ぇって言ってんだろ!!?」
「うっせぇっっ!!!」
怒鳴り声が響き人が殴られるような鈍い音がした。
殴られたらしい男が倒れた扉に落ちてもう一人の殴ったらしき男がその上に馬乗りになった。
今にも喧嘩が始まりそうな……てか、もう始まってるね。
呑気にその様子を見ていると
「何やってんだてめぇら」
南の低い声が男の拳を止める。
二人の男達は南がいることにようやく気付いたのか顔を青くさせて固まってしまった。
やっぱ紅華なだけあるなぁ、南。
「あ…み、南さん…」
「その、あ、……これは」
「お前ら、確か昨日も騒いでたな。…女が、どうとかって」
その低い声に鋭い冷たさが混じる。
なんだろな……南って。
固まって動かない男達から南は一度視線を離すと
バリンッッ!!
扉横のガラスを素手で破壊した。
……えー。
え、大丈夫なの?南、無表情だけど手から血が出てるし。
男達はおろか他の生徒まで顔面蒼白だし。
粉々になったガラスが教室内に飛び散っている。
「つまんねぇことで騒いでんじゃねぇよ。潰すぞ?」
「「………はい…」」
おお、怖い。
男達は怯え切った表情をして震えた声で返事をしたのであった。