秘密。
わお…、ワンコールもしないうちに出たよ。
「あれ?起きてたの?」
『聞いてんのはこっちだ。今、どこにいる』
物凄く声が低い…。完全怒ってるなぁ。
「んーとね…どこだっけ?繁華街出たトコの空き地」
『だからどこの!』
「もー耳元で叫ばないでよ…」
イライラしてんなぁ。
「周(アマネ)も帰って来れば?地元にいるから」
『は?地元って……、お前』
少し困惑気味の周の声が返ってきた。
何も言わずに来ちゃったから当たり前だけどね。
周とあたしは幼なじみみたいなもんで……。
あたしが家出をした時、一緒にこの街を出てくれた。
なんだかおかしな関係なんだよね。
『……今からそっち行く。そこから動くな』
「あ、来てくれんのー?ついでに着替え持ってきて」
『……チッ』
周の舌打ちと共に電話が切れて寂しい機械音が耳に響く。
舌打ちはないでしょー。
ぶー、っと唇を尖らせて携帯を睨む。
「ま、いっかー」
20分もすればこっちにつくだろうな。
昨日はあたし、いろいろ寄り道してたから遅くなっちゃったんだよなー。
でも周は寄り道とかする奴じゃないし、どれだけ飛ばしてくんのか分かんないからヘタしたら10分で着いちゃうかも。