傷×恋=幸
風都はあんなこと言いたくて言ってるんじゃない…。



言わなきゃ風都が苦しくなるから言うんだ…。



「ちーのこと、信じてぇ…」

「ん…」

「どうしたらいい?」



あたしにしか見せない弱い風都…。



胸が苦しくなる…。



風都の前に立ち、ギュッと抱きしめると腕を回してきた。



「あたしは風都に傷つけられるなら…別に構わないよ」

「ちー…」

「だけど、あたしはあの人とは違う。ちゃんと風都のこと見てるから」

「ごめんな…」



やっぱり風都が小さく見える。



元カノに傷つけられたことがトラウマになってるのか、それとも今まで関係を持った人達が酷かったからなのか。



それはわからないけど、風都の心の傷は人を信じるって部分だけがエグられてる気がする。



深くて、真っ暗で。



あたしが捨てられるのを怖がるのと一緒みたい…。



「少し部屋行く…」

「うん」



部屋に入った風都はベッドに座ってひたすらあたしを抱きしめていた。



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