傷×恋=幸
何も話さないちーの腕を掴んで家に帰った。



無言で重苦しい空気…。



「あたし…月島じゃなくなってたよ…」

「は…?」

「再婚…したんだって。あたし、今は西條なんだって…」

「それでもちーはちーだろ。名字なんかどうだっていい」



再婚してやがったのか…。



どこまでもふざけてる…。



「あのねっ、あの…風都…」

「ゆっくりでいいから。なんか飲むか?」

「いらない…。学校…をね、がっ…こ…やめっ…」



流れ出した涙。



学校やめる…?



学費払わねえってことか?



「今…の旦那っ…借金あるからって…」

「そう来たか…」

「どうして…あたしの居場所奪うの?なんで楽しくなると…ダメなの?」



なにも言ってやれない不甲斐なさ。



金のことは…俺じゃどうすることもできねぇ…。



「風都もいなくなるの?麻衣子も…みんな…」

「いなくなんねぇよ。絶対どうにかしてやるから。俺がどうにか…するから」



ちーは喋れないくらい泣いていた。



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