傷×恋=幸
カバンを受け取って家まで帰った。



滅多に手は繋がない。



外でベタベタってのはあんまり好きじゃねぇからな。



家には誰もいなくて、チャンスと言えばチャンス。



店が忙しい時とか、バイトが急に休んだ時だけ母ちゃんが手伝いに行くけど、今日はどうかわからない。



ただ買い物に行ってるだけかも。



「どうすっかな…」

「なにが?」

「母ちゃんが帰ってきたら俺の命が危ない」

「あっ…」

「夜まで我慢しとけ」

「帰ってきた意味ないじゃ~ん…。じゃあくっついてるからいい…」



ベッドに座って足の間に入ってきたちーを軽く抱きしめた。



今日はマジで猫みたい…。



こんなに甘えてくんのも珍しい…。



「なんかあったのか?」

「なんにもないよ~」

「妙にくっついてくんじゃん」

「風都って誰のモノにもならないでしょ?なのにあたしのワガママは聞いてくれるんだな~って、なんか嬉しくて」



言われてみると…。



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