傷×恋=幸
そんな順調なあたし達に急に危機が訪れた。



ある日突然、見知らぬオジサマが夏川家を訪れて…。



「千衣の父、笠原 良平と申します」



そう名乗ったから。



見たこともない顔、聞いたこともない名前。



困惑する夏川家の両親と、殺気を隠しきれない風都。



いたって冷静な悠都君はコーヒーを出した。



「今更現れてどんなつもりですか」

「千衣を引き取りたいと前々から言っていたんですが、母親が拒否し続けてまして」



最近再婚したという話を聞いて探偵を雇ったんだって。



それで突き止めたあたしの住みか。



「認知はしていますし、毎月養育費も払っていました。千衣がこんなことになってるなんて知らずに申し訳ありません」

「ちょっと待ってくださいよ。ちょっと…それはないんじゃないですかね?」

「夏川さんには感謝しています。血も繋がらない人間を置いて面倒まで見ていただき…」

「千衣ちゃんはやれません」

「父親なんです、私は…」



悪い人ではなさそうだ…。



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