傷×恋=幸
どうやら風都は良平さんをあたしの親とは認めてないみたい。



別にそれはそれで仕方ないと思ってる。



急に出てきて、なにが親だって気はあたしもしたから。



他人の風都から言わせればその思いはあたしよりも強いだろうし。



「ちーの部屋、初めて入ったな」

「そういえばそうだね」

「襲うけど問題ある?」

「そのために来たの!?」

「そういうわけじゃねぇよ。でも久しぶりだし」



もう冬休みだもんね…。



あたしも風都もバイトでふたりになる時間なんかないかも。



「あっ!!忘れるとこだった!!」

「なにを?」

「風都、この前誕生日だったでしょ?なんかあんな感じだったからおめでとうも言わなかったし…」

「別に誕生日なんか嬉しい年でもねぇよ」

「あたしが祝いたいの!!ってことでバイト代でプレゼント買いました~!!」



風都に合いそうな学校用に着るコート。



寒がりだし。



「カワイ…」

「風都の好みもあるだろうから迷ったんだけど…」



風都からもらったのは笑顔と『ありがとう』だった。



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