傷×恋=幸
嬉しそうな顔…。



そっか、これはちーへのご褒美旅行だったな…。



甘やかしてやるって約束したし。



「今日の移動は全部手ぇ繋ぐ」

「うん!!」

「同じ布団で寝る」

「うん!!」

「少しだけならワガママ聞いてやる」

「やったぁ~!!でもワガママって…どうやって言うの?」



元から欲は少ないちーにはワガママが難しいらしい。



キツそうな顔して見た目は毒舌っぽいくせに。



ちーの口は人を傷つける言葉を発さない。



聞こえるのは俺への愛の言葉。



「ワガママってのは思ったこと言ったらいいんじゃねぇの?」

「思ったこと…。うどんが有名だからお昼は鍋焼きうどんがいい!!とか…?」

「ん、上出来」



1時間の新幹線、ちーは隣でずっと笑顔だった。



嬉しそうで楽しそうで。



俺もはしゃいでしまいそう…。



「そっちの荷物持ってやるよ」

「えっ、重いからいいよ?」

「甘えたら?」

「じゃあ…お願いします…」



手を繋いで駅の外に出た。



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