傷×恋=幸
立ち上がった風都が思い立ったようにあたしに何かを差し出した。



「スペア作ったからやるよ。自殺以外に使うならな」

「なに?」

「屋上のカギ」



なにも着いてないカギ。



あたしがもらっていいものなのかはわからないけど、風都の気持ちなんだろう。



「ありがとう」

「…………お前、約束忘れてる?」

「なんの?」

「泊めてやる代わりにカラダはもらうって」

「あ"ぅっ!?」

「まぁ、いずれ」



ニヤッと笑ってから出て行った風都。



パタンと閉まったドアにドキドキが激しくなった。



本気で言ってたなんて思ってなかったし!!



それにあたし…風都とそんなことできる気がしないっ!!



顔が熱くて心臓がうるさくて。



なかなか眠れなかった。



次の日はユズさんとコンタクトを買いに行き、その次の日は家事のお手伝いをして過ごした。



朝は早く起きて、朝ご飯の手伝い。



ユズさんはやらなくていいって言ってくれるけど、居候の身でタダいるのはイヤ。



< 35 / 300 >

この作品をシェア

pagetop