傷×恋=幸
今でも思い出す。



『ペットみたい』

『風都は癒し』

『大好き』



全部ウソの戯れ言。



俺はただ遊ばれたバカで無垢なガキ。



認めたくなかったけど、最近スゲー思い出す…。



忘れてないって、カラダもそう言ってる…。



「って、なに言ってんの、俺」

「初めてそこまで喋っちゃいましたね~」

「うっせ!!マジうるせぇ…」

「傷ついたんだね、風都…」

「んなわけねぇだろボケ。俺は傷付ける側」



初めて誰かに話したかもしれない。



失恋当初はクロに話してたけど…。



別れて相当経つのに、今まで閉じこめてた気持ち。



ちょっとだけスッキリした。



「前に進まないの?」

「忘れたらな」

「そっか…」



どうしたら忘れられんの?



あの甘い時間とか、美化されてく記憶の中の彼女を。



「ちーは?失恋経験」

「ないよ~。恋愛経験がない」

「そうスか」

「そうです」

「あっ、ハト。捕まえた方が昼飯おごってもらうってどう?」

「絶対イヤ」



忘れてぇな…いい加減…。



< 65 / 300 >

この作品をシェア

pagetop