秘密の世界
(はやくここから離れなきゃ捕まる。)
王妃はそう思い、出口を探したが、敵がいる方にしか出口がない。洞窟の奥は光がなく、真っ暗闇だ。
若い男が立ち上がった。
「奥に先客がいるかもしれない。ちょっと見てくる。」
王妃は青ざめた。
(あの男が来たら、確実に見つかる!何か、何かここを抜け出せるいい方法は・・・!?)
ふと、王妃の頭にある考えが浮かんだ。
(あの男が、自分達を見つける一瞬の隙をついて逃げよう。もうこれしか、逃げられる可能性がない。少しでも可能性があるなら・・・。)
そう思いながら、身構えていた矢先
「おかあちゃま?ここどこ?」
腕の中で眠っていた娘が起き出した。あわてて口を塞いだが、遅かった。
「だれだ!」
ああ、見つかってしまった。もう最後の可能性も失った。
(ごめんなさいあなた。でもあなただけは生きてね。)
そう胸の中で思い、娘を自分の後ろにかくし、王妃らしく堂々と岩陰から姿を見せた。
驚く敵の顔と敵が着ていた、白い制服が見えた。